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ガバペンチンの実力 1 (薬効) 

 9月22日、神経因性疼痛の痛みを和らげる、新しい薬が発売されました。ファイザーのガバペンチン(商品名ガバペン)。抗けいれん薬と呼ばれるタイプの薬です。
 といっても、ファイザーの発表文を読んでも、疼痛緩和に効果があるなんてことは、まったく書いてありません。今回はあくまでてんかんの薬として承認されたので、これ以外の効能はうたってないのです。ですがこの薬、米国では帯状疱疹が治った後に残る疼痛に対しても適応が認められています。帯状疱疹後疼痛というのは典型的な神経因性疼痛で、これに効果があるってことは、ほかの神経因性疼痛にも効く可能性が高いということです。外傷後の疼痛や、CRPSにも効く可能性があります。

 実際、どの程度期待できるんでしょうね?ちと調べてみました。
昨年、医学誌「PAIN」に興味深い論文が出ています。デンマークのFinnerupらが、神経因性疼痛の緩和を狙った臨床試験の論文105件を統計的にまとめ、各種の薬の効果を比較したものです1)。これによると、ガバペンチンは帯状疱疹後の疼痛だけでなく、糖尿病や脊髄損傷による神経因性疼痛に「中程度の鎮痛効果(moderate effect on pain)」があることが、大規模な臨床試験で確認されています。末梢神経の痛みに対して、「痛みが50%以上減った」または「痛みがかなり軽くなった(good pain relief)」「改善した(improved)」という人の割合は、この薬を処方された人のうち、約4.3人に1人です。
 えっ、そんなに少ないの?と思われるでしょうが、この数字は、それほど悪くはありません。神経因性疼痛によく処方される三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、商品名トリプタノールなど)で同等の効果があった人は2.3人に1人、SSRI(パロキセチン、商品名パキシルなど)では6.8人に1人です。神経因性疼痛に処方される各種の薬を、効く人の割合で順に並べると、ちょうど真ん中くらいです。

 この「1人に効果が上がるためには、何人治療しないといけないか」という数字は、NNT(Number Needed to Treat=治療効果発現必要症例数)と呼ばれ、薬の効果を比較する際によく使われる指標です。でも万能ではありません。プラセボ(偽薬)を比較対象とした臨床試験の結果から計算するので、既存の薬と比較した臨床試験の結果は反映されません。また質の異なる臨床試験を無理やり比べることが多くて誤差が大きくなりやすい、試した薬が効かなかった臨床試験はあまり論文として発表されないのでバイアスがかかるなど、色々な問題点があります。参考となる指標のひとつ、というくらいに見ておいた方がいいと思います。

 この数字とちょっと矛盾するような臨床試験もあります。1999年にMorelloらが19人の糖尿病性神経因性疼痛患者に、ガバペンチンと抗うつ薬のアミトリプチリンとをそれぞれ別の期間に投与して、効果を比較したものです2)。患者数が少ないという問題はありますが、二つの薬の効果には差が見られなかった(両方効いた)ということです。
 
 実はあつこには、この薬は非常によく効きました。受傷後、まだ激痛に呻いていた頃に「痛みが無くなるまで増やします」と言われ、実際、大丈夫か?と思うくらい増えていきました。一番多い時には1日に2700mgのんでました。3グラムなんて、ほとんど飴玉です(笑)。
 今は1日1800mgです。1日4回、6時間ごとに飲むのですが、たまに眠っちゃったりして飲み忘れると、はっきりと痛みが戻ってきます。この薬が日本にないと知って以来、帰国したらどうしよう!とずっと恐怖を感じていたので、日本での発売は嬉しいです。これで安心して日本に帰れます

 もちろん、あつこに効いたからといって、ほかの方に効くとは限りません。「疼痛治療はトライアル・アンド・エラー」(米S大ペインクリニック医師)。決定打は無く、色々な薬や神経ブロックなどを順に試してみて、自分に一番合うものを探すしかないようです。それぞれ副作用もあるし、口で言うほどたやすくはないんですが、ほかに手はないのが実情です。
 この薬だって決して特効薬ではないのですが、選択肢は沢山欲しい。この薬しか効かない、って人もいるかもしれないんだもんね。

 ガバペンチンを神経損傷やCRPS患者の疼痛緩和に使うのは、いわゆる適応外処方になりますが、ご存知の通り、神経因性疼痛の薬なんてそんなのばっかりです。医師が保険組合に説明してくれれば、大体通るでしょう。大学病院ならまず大丈夫だと思います。

 副作用についても書こうと思っていたのですが、長くなってきたので、次回に回しますね。                          (この項続く)

出典:
1)Finnerup NB, Otto M, Mcuay, et al. Algorithm for neuropathic pain treatment : A evedence based proposal.Pain 118:289-305,2005
2)Morello CM, Leckband SG, et al. Randomized double-blind study comparing the efficacy of gabapentin with amitriptyline on diabetic peripheral neuropathy pain. Arch Intern Med 1999;159:1931-7

*筆者あつこは医学には素人です。文献から、できるだけ正確な情報を伝えたいと心がけていますが、間違い、勘違いもあると思います。お気づきになったら、ご指摘頂ければ幸いです。

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コメント

こんばんば♪

あつこさ~ん♪
ブログ開設おめでとうございます。
濃い内容で、すごいです!
もしかしたらずっと痛みと一緒に生きていくかもなのに勉強不足な私。
まだ、怪我から病気へ変わったことへの心の整理が出来てないのかも・・・。
ありがたいブログをありがとうございます。リンクさせて下さいね♪
しかし、事故の車ぐちゃぐちゃですね。よく命が助かりましたね。ものすごい恐怖だったと思います。
これからもよろしくお願いしますね♪

知識は力・・・と信じて

RUNさん、早速おいで頂き、どうもありがとうございます。そう言って頂けると、とっても励まされます。

こんな色気のない「お勉強ブログ」を立ち上げたのは、治療法が確立していない病気と闘うには、患者の知識が不可欠だと痛感したからです。CRPSなんて、医師の間ですら知られておらず、知識も関心も無い人が少なくありません(RUNさんはよーく御存知ですね・・・)。いい先生だって、治療は手探りです。先生の言葉にただ頷いていると、的外れな期待と失望を繰り返し、際限なく落ち込んでしまいます。以前の私が、そうでした。

CRPSは症状がすべて。がんのように、気配も無く病気が進行していく、なんてことはありません。自分の身体の声を聞けるのは自分だけ。ならば知識をつけ、治療法選択の主導権を握ろう。先生には、そのための手伝いをしてもらおう。そう思うようになりました。

神経損傷/CRPSは、先の長い病気です。このブログを通じて、ほかの患者さんと一緒に、前向きに闘っていけたらいいなと思っています。またおいで下さいね♪

おじゃまします

あつこさま♪おじゃまします、ぺこり。
こちらではあつこさんで書かせていただきますね☆
あつこさんも何かを始めるのかな、とziさんのコメントで感じてたけどここはもう走りだしてたのですね☆
CRPS、はじめて知ったので検索とかもしながらゆっくり拝見しました。
事故写真もみました、酔っ払いの逆走、そのときのあつこさんを思うととても悲しい気持ちになりました。日本でも今子供3人の死亡事故以来飲酒運転が毎日取り上げられてるんだ。

そしてあつこさん、お勉強ブログすばらしいです☆
自分の病気に正面から向き合っていないわたしには、あつこさんがまぶしいな☆
これからもぜひ応援させてください♪

はあとさんへ(書き直しました)

はあとさんだ!
コメントどうもありがとうございます~。
わざわざCRPSについて調べながら読んで下さったんですか?
こんな読みにくいブログを・・・うるうる。
素敵な人って、私じゃなくて、はあとさんのためにある言葉ですっ。

運痴で運転もドヘタと自覚している私は、アメリカに来なかったら、決して運転なんかしなかったでしょう。自分が人を轢いてしまうことは100回くらい想像し心配していましたが、まさか被害者の側になるとは考えもしませんでした。周りも皆そう思っていたらしく、事故の報を受けた母の最初のセリフは「それで相手の方はっ」でした。(笑)

それくらい加害者気分になっていたので、事故の相手に対しても、当初は腹も立ちませんでした。でも酒飲んで高速を逆走したって聞いた時には、さすがに脱力。それは私でもやらないよ・・・。

子供さんが事故で亡くなるって、本当に辛いです。今でも自分がその加害者になるのではなく、被害者の立場ですんでよかったと思います。なんか変な言い方ですが。

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ファイザー

ファイザーファイザー(Pfizer Inc.,ニューヨーク証券取引所|NYSE:PFE)は、世界売上1位(2005年、売上高約513億ドル)の製薬会社である。本項ではその日本法人のファイザー株

  • [2007/01/25 03:10]
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